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第ニ章「本件の真相」

捜査機関のリークによるマスコミ操作

2-1. 捜査機関がマスコミ操作
冤罪の多くがそうであったように、この巨額融資事件においても捜査機関によるマスコミ操作が存在した証左となった新聞報道である。 平成3年7月25日からマスコミ報道により発覚した大手都市銀行を舞台(ステージ)とした「巨額不正融資事件」捏造証拠はまず、マスコミを操作することから始まったのである。検証ください。

(ア) 平成3年7月25日 富士銀行事件
赤坂支店渉外課長外2名を「有印私文書偽造同行使特別背任罪」で警視庁に告訴。

平成3年7月25日(木) 毎日新聞夕刊 1平成3年7月25日(木) 読売新聞夕刊

  新聞をはじめとする報道機関は何を証拠にこのような非常識な報道ができるのか、大手都市銀行は「架空証書」で2600億円という巨額の不正融資が何年間も「個人の銀行員」によって継続できるような銀行の経営体系ではないのである。何のために各法律、規則、規約に即した大蔵省(現財務省)銀行局(現在は、内閣府金融庁が管轄)各銀行内部の監督、監査等があるのだが、その実態はどうなっているのか。

 これだけの巨額な経済取引は、絶対に何年間も支店内で継続ができるものでないのである。何よりもこれだけ巨額な取引は一件ごとに銀行本店取締役会の承認決議が必要なのである。

(イ) 平成3年7月26日 協和埼玉銀行事件
東京営業部元次長外2名を「有印私文書偽造同行使罪」で東京地検に告訴。

平成3年7月26日(金) 読売新聞平成3年7月26日(金) 読売新聞夕刊

(ウ) 平成3年7月29日 東海銀行事件
秋葉原支店得意先係支店長代理1名を「有印私文書偽造罪」で警視庁に告訴。

平成3年7月29日(月) 朝日新聞平成3年7月29日(月) 読売新聞

捜査機関によるマスコミ操作の理由

2-2.-(1)各大手都市銀行と捜査当局の動き
  協和埼玉銀行は銀行員を「有印私文書偽造同行使罪」により東京地方検察庁に告訴。
  東海銀行は銀行員を「有印私文書偽造罪」により警視庁に告訴。

  平成3年7月26日協和埼玉銀行が上記告訴を東京地検に行い、多数の気鋭の検事を擁する東京地検特捜部が「有印私文書偽造同行使、詐欺罪」で平成3年9月5日銀行員を逮捕。 銀行員達がどのようにしてそのような巨額の資金操作を可能にしたのか、そして銀行における監督、監査等の体制がどうして彼等にそのような不正を許したのか、そのメカニズムが「有印私文書偽造同行使、詐欺罪」事件の捜査を通じて捜査当局により究明されるべきなのに、富士銀行事件、東海銀行事件は「一刑事事件」として東京地検特捜部ではない、東京地検「一刑事部」が担当することとなった経緯がきわめて不自然である  東京地検特捜部が銀行に対する本格的な捜査を展開することになれば、銀行上層部にとどまらず我が国金融首脳にまで類が及ぶ政財界全体の不祥事に発展することは必至であったのである。現職大蔵大臣の秘書が連日マスコミに騒がれ、国会での野党からの追及は今日でも語り草となっている。 世界に冠たる東京地検特捜部は我が国戦後最大の金融不祥事を追及せず銀行の収益第一主義金融機関のモラルの欠落ぶりが白日の下にさらされない為として警視庁に事態の収束を丸投げしたのである。

  東京地検特捜部が銀行に対する本格的な捜査を展開することになれば、銀行上層部にとどまらず我が国金融首脳にまで類が及ぶ金融界全体の不祥事に発展することは必至であったのである。現職大蔵大臣の秘書が連日マスコミに騒がれ、国会での野党からの追及は今日でも語り草となっている。世界に冠たる東京地検特捜部は我が国戦後最大の金融不祥事を追及せず銀行の収益第一主義金融機関のモラルの欠落ぶりが白日の下にさらされない為として警視庁に事態の収束を丸投げしたのである。

  警視庁は富士銀行における不正融資、東海銀行における不正流用に対応し、100名を超える捜査スタッフを編成して特別捜査本部を平成3年8月はじめに設置し、本来であれば、捜査機関による厳密な捜査が行われるはずが捜査当局の実ある取調べ捜査が行われた形跡はなく、本件ではとんでもない主任捜査検事の捜査指揮による「詐欺罪」捏造を行ったのである。

2-2.-(2) 捜査当局の不自然な捜査・証拠集め
 東京地検なら、本来の金融犯罪について行っている捜査の鉄則である銀行の会計帳簿に基づく各伝票による数字を徹底的に分析し真実の解明を行うのであるが、柳俊夫検察官は銀行から会計帳簿等の押収などまったくせず、銀行から「預金元帳調査結果」というコピーを作成させたのである。つまり自分の虚構に基づく立証証拠作りをあきれたことに銀行に指示して伝票等などのコピー偽造を行わせたのである。

この事実を実証したのが平成20年12月18日発行の「警視庁捜査二課」(講談社刊著者萩生田勝=元警視庁捜査員で当時本件詐欺事件を捜査していた)に、当時の捜査報告として「東海銀行はわれわれの捜査に非常に協力的でした。検査部次長と警視庁OBの二人がわれわれの窓口になってくれ、毎日われわれのそばにやってきては『次のご下命を』という調子なのです」(P.94)と記述されている。 このように捜査機関が東海銀行によるコピー作成の「預金元帳調査結果」等、すべて『次のご下命を』でコピー作成しているのである。(後に客観的証拠で立証する)。  これは当時の捜査員によるまったく呆れた東海銀行関係の証拠収集実態なのである。すべて東海銀行から押収された帳票類がコピーであった事実が納得できたことである。まさに、捜査の常識や金融常識を捨て、児戯に等しい法律構成で「詐欺罪」の適用を決意した「背景」には、その不自然さ、不合理さを上回る検察、警察のメリットと打算が存在したのである。

2-2.-(3) 「巨額不正融資事件」の不自然、不合理さに目をつぶるマスコミ

(ア) 新聞報道を確認ください。

平成3年8月8日(月) 読売新聞平成3年8月8日(木) 朝日新聞平成3年8月8日(木) 毎日新聞

 何故、銀行が平成3年7月25日からマスコミ報道で大手都市銀行3行が同時期同様の「巨額不正融資事件」として「発覚」を発表しなければならいのか、非常に不自然なのである。そして「告訴状」による刑事手続を同時に発表することが何を目的としたのかである。

2-2.-(4) 事件は経済常識上ありえない。
 この事件は、経済常識、社会常識で不自然不合理である。いかにバブル経済下の異常な時代であったとはいえ、富士銀行事件が、昭和62年(1987年)9月5日から総額2600億円の「架空預金証書」(51枚)と「質権設定承諾書」偽造を行ったとする事実、そして同時期同様に東海銀行事件による「質権設定承諾書」(13通)総額630億円の偽造を行った「巨額不正融資事件」が何故、急に発覚することになったのか。

 これまで大蔵省(現財務省)をはじめとする金融当局、銀行内の監督、監査等は何なのか。誰が考えても約5年間も継続して行われた「巨額不正融資事件」であり、誰が考えてもマスコミの報道で発覚するような問題ではないのである。後述するが富士銀行、東海銀行銀行員は同時期同様の取引を行った。その真相を後に客観的証拠(弁35号証=弁護側の提出証拠)で立証するが、富士銀行銀行員の検察面前調書(弁35号証、以下検面調書とする)添付資料では昭和62年9月5日チャート〔1〕〜平成3年6月5日チャート〔147〕まで(147件)総額7167億円、定期預金(88件)通知預金(66件)を用いた取引が供述されている。

 特に注目しなければならないのが後述するが、柳俊夫検察官、貴殿により作り上げられ詐欺事件の犯罪構造である「協力預金」と言われる100億円が何と「書替え」9回となっている現実を目にすれば、誰もが、これだけ巨額な長期の「協力預金」など絶対に経済社会では存在し得ないと思うはずである。まさに「協力預金」の目的と意義を無視した犯罪構造を机上で作り上げた証左である。非常識であることは自明である。

 まして銀行に対する「協力預金」をする名義人が資本金300万円で経常利益8,500円であるのに、一ヶ月約8000万円の「金利」を支払うことまでして9回も書替えを行えば、「金利」は巨額になり、銀行が何も知らず発覚後になって、単に個人銀行員による「犯罪行為」だからと言って処理できるような約5年以上の平常銀行業務では済まされないのである。あまりにも国民を無視した銀行経営と言わざるを得ない。また、経済社会の常識から「協力預金」に書替えの必要などあるはずがないのである。

(イ) 富士銀行、東海銀行実績

(イ) 富士銀行、東海銀行実績

(ウ) 銀行員検面調書添付チャートの一部を検証ください。

(ウ) 銀行員検面調書添付チャートの一部を検証ください。

  同様に東海銀行銀行員は、平成3年9月18日萩生田勝ほか2名作成「東海行秋葉原支店を舞台とした不正融資事件融資実態解明報告書」(検察側立証証拠甲129号証)では昭和62年3月11日チャート〔1〕〜平成3年6月28日チャート〔75〕まで「75件」、総額1930億3600万円、定期預金「24件」通知預金「56件」を用いた取引が解明されている。 これも後日客観的証拠で立証するが、前述の富士銀行同様の「書替え」が多数有り最高9回が存在するのである。この客観的証拠に基づく事実は、大蔵省(現財務省)指導による後述するような特別な「銀行VSノンバンク」による巨額融資取引、それも9回も書替えが可能な銀行の「一般貸出債権」流動化用「約束手形債権」一式を用いた各ノンバンクの巨額金融取引が存在していたなによりの証左なのである。 マスコミはこの約5年以上も継続された取引実体を知りながら報道しているのであるから、経済常識、社会常識がかたよっているのである。尚、申し上げるなら、当時の警視庁に利用されたマスコミ関係者はこのあと、警視庁が本件捜査の「失敗」を正式に認めるコメントを発表している事実は知っている。そして警視庁はIT関係とか公認会計士とかを捜査員として採用するのである。銀行に利用されない位に捜査員の訓練も実行したのである

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